世界のセレブ・ファミリーヒストリー

英・米・豪・加で放送されている「ファミリーヒストリー」的番組 Who Do You Think You Areの興味深いエピソードを紹介します。セレブの家族史を通じて、世界の知らなかった出来事が見えてくる。今の世界を知る上でも、個人を知る上でも、色々興味深いこと満載です。

【女優:サラ・ジェシカ・パーカー】SATCキャストのルーツ:先祖は魔女?!

プロローグ

日本でも「セックス・アンド・ザ・シティー」で有名な女優サラ・ジェシカ・パーカー

Sarah Jessica Parker 2 Shankbone 2009 Tribeca.jpg
By David Shankbone - David Shankbone, CC BY 3.0, Link

7人兄弟という大家族で育った彼女、父親のルーツは東欧から来たユダヤ人であるが、母親のルーツについてはあまり知らないという。

まさかメイフラワーに乗ってアメリカに来たような先祖はいないとは思うが、母のためにも、母のルーツについて知りたいと語る。

ホッジという苗字

サラ・ジェシカの母はオハイオ州シンシナティのドイツ人コミュニティで生まれ育った。

母方の祖父はバイエルン地方からやって来たドイツ系アメリカ人。

母方の祖母の旧姓もドイツ系。

しかし祖母の母、つまり曽祖母の旧姓は「ホッジ(Hodge)」。イギリス系の響きを持つ苗字だった。

先祖は皆ドイツ系だと思っていたところに、意外な苗字が出てきたことにワクワクするサラ・ジェシカ。

シンシナティの図書館を訪れると、そこでこの「ホッジ」という苗字が、アメリカの中でもニューイングランド地方で16~17世紀から見られる古い苗字であることを知らされる。

高祖父の名前はエルバ・ホッジ。彼の死亡証明書から、さらにエルバの両親の名前がわかった。

その情報を元に1860年の国勢調査を調べると、当時10代であったエルバの父が、未亡人である母親と暮らしている記録が見つかった。彼の父親に果たして何があったのか。

ゴールドラッシュ、西へ向かった先祖

高祖父エルバの父の死亡広告記事が見つかる(アメリカでは個人が亡くなると、地元の新聞に生い立ちを記した広告を出すことが今でも多い)。

そこには、彼の父親ジョン・ホッジは1849年、ゴールドラッシュのカリフォルニアに向かう際に亡くなったと書かれていた。

カリフォルニアで金が見つかったのが1848年。以降世界中から何万人という人々が一攫千金を夢見てカリフォルニアに集まった、まさにゴールドラッシュの初期である。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d0/Mining_claim_No_8_above_Bonanza_Creek_showing_Grand_Forks%2C_mouth_of_Eldorado%2C_Gold_Hill%2C_and_Big_Skookum%2C_Yukon_Territory%2C_ca_%28HEGG_473%29.jpeg

さらに1850年カリフォルニア州国勢調査に、ジョン・ホッジが鉱夫として登録されているのが見つかる。なぜか死亡広告に書かれていた父の死亡年と1年ずれていた。

ジョン・ホッジの名前が入った契約書も見つかる。それは当時、5人のメンバーと200ドルずつ出資し、オハイオからカリフォルニアにともに向かうことを約束したものであった。

当時カリフォルニアに向かうには、シエラネバダ山脈を超えなくてはならず、10マイル進むたびに一人が死ぬと言われるほど、非常に厳しい道のりであったという。

彼がオハイオからカリフォルニアに向かった際、妻は妊娠2ヶ月だった。妻が身ごもっているのを知らずに、西へ向かったのかもしれない。

エルドラドへ

ジョン・ホッジが国勢調査に登録されていた、カリフォルニア州エルドラドに向かうサラ・ジェシカ。

オレゴンからエルドラドに通じる道の両脇は、当時人々が金を求めて掘り返した状態のままとなっており、時間が止まっているようで圧巻である。

http://cdn.history.com/sites/2/2016/08/GettyImages-57026461.jpg

当時この土地には何万人もの人々が集まり、テントで生活しながら金を掘り続けていたという。

ここで、ジョン・ホッジとともにカリフォルニアからやってきた仲間の日記のコピーが手渡される。

そこには1850年、ジョン・ホッジともう一人の仲間が病に倒れ、6週間後に亡くなったこと、その旨を知らせるため故郷に手紙を書き送ったことが記されていた。

読みながら涙ぐむサラ・ジェシカ。

ジョン・ホッジが亡くなった時、息子はまだ2ヶ月。息子の存在もおそらく知らずに亡くなったのであろう。また、ジョン・ホッジが亡くなったニュースが届くにもかなり時間がかかったと思われる。

一攫千金はならず、悲劇に終わってしまったカリフォルニア行きであったが、自分の先祖が、ゴールドラッシュというアメリカの大きな歴史的出来事の一部であったことに感慨を覚えるサラ・ジェシカ。

ボストンへ

ホッジという苗字の謎を探るために、次はボストンへ。果たして彼女の先祖となるホッジ家は、植民地時代から続く古い家系なのだろうか。

ここで、ゴールドラッシュの最中亡くなったジョン・ホッジに関する書類から、両親の名前が判明する。彼の父親独立戦争前後に生まれており、つまりは「アメリカ人」第一世代であった。

そして母親の名前はアビゲイル・エルウェル(Elwell)。このエルウェルという苗字もニューイングランドにルーツを持つ非常に古いもので、さらにそこから4世代前まで遡ることができた。

アビゲイルから4代前、最初の「エルウェル」として確認できたのはサミュエル・エルウェルで、メイフラワー号がアメリカに到着した15年後の1635年生まれ。

ここで、1620年から1635年の間に、イギリスからアメリカ大陸に渡ってきた人達の名簿を調べてみると(そんなものが残っているのが驚き!)、そこにサミュエルの父、ロバート・エルウェルの名前が確認できた。イギリスのどこからやってきたかはわからなかったが、このロバート・エルウェルがアメリカにおけるエルウェル家の元祖である、と言える。

また記録から、ロバート・エルウェルがセイラムの教会に入会した記録を見つけ、驚くサラ・ジェシカ。

セイラムといえば、魔女裁判で有名なところである。

魔女裁判が起きたのは1692年だが、ロバートはそれ以前に亡くなっていたことがわかった。しかしその息子サミュエルと妻エスターは、まさしく魔女裁判真っ只中のセーラムにいたことになる。

集団ヒステリーの中、理不尽な理由から多くの無実の人達が魔女のレッテルを貼られ、処刑されたセイラムの魔女裁判。当時この地域に住む人々の中で、なんらかの形でこの魔女裁判に関わらなかった者はいなかったという。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/7/7e/Witchcraft_at_Salem_Village.jpg

サミュエルとエスターは、魔女裁判に一体どのように関わったのだろうか。

1692年の法廷記録を探すと、エスターの名前がヒットした。

他人を魔女として告発したのではなく、魔女として裁かれていた方がまだ人間として良いが・・と不安でいっぱいになるサラ・ジェシカ。

魔女の告発

法廷記録を調べてみると、サラ・ジェシカの先祖、エスター・エルウェルは、別の2人の女性とともに、魔術を使った疑いで逮捕状が出されていた。

近所の女性に魔術を使い、身体に甚大な被害をもたらした、というものである。

信じられない、クレイジーだとショックを受けるサラ・ジェシカ。

300年前のオリジナルの書類が残されていた。そこには、近所の17歳の娘が、エスターと他の女性2人が、被害者の女性の首を締めているのを見た、という目撃証言が記されていた。

被害者の女性は、その晩亡くなったという。

周囲の人々に魔女だと指差されて、一体どんな気持ちだんだろうか、考えるだけで頭がグラグラする、とかなりショックを受け少し感情的になるサラ・ジェシカ。

セイラムへ

実際にエスターは魔女として処刑されてしまったのだろうか、その後を調べるためセイラムへ向かう。

魔女裁判に詳しい専門家によると、当時、何かミステリアスで説明のつかないことが起こると、全て魔術のせいにされていたのだという。

エスターのこの事件は、近所の女性が原因不明の急病で亡くなったため、その説明をつけるために、目撃証言をした17歳の少女が呼ばれたのだという。

そしてこの目撃証言は、本人が実際にそれを見たのではなく、なんとその少女による「霊視」、つまりはエスターをはじめとする3人が、亡くなった女性の首を締める「幻影が見える」と証言したものであった。

当時、魔女が呪いをかけるところが見えると主張する若い女性がおり、魔女裁判の時にはこのような証言が有効なものとして取り上げられていた。そして魔女裁判にかけられたものは、ほぼ全員が罪に問われたという。

しかしエスターは非常にラッキーであった。彼女に対する疑いがかけられたのは1692年の11月。しかしその前月10月に、魔女裁判を行っていた法廷の解散命令が出たため、彼女に対する裁判は実際には行われなかった。いわば、彼女は魔女の疑いをかけられた一番最後の人物の1人であった、とも言える。

結局エスターはその後、82歳まで生きることができた。

絶妙なタイミングで難を逃れることができたエスターだが、もしこの裁判が続いていたなら先祖は一体どうなっていたのか。

エスターのように生き残ることができなかった人達を思い、無実の罪で処刑された人達の墓参りをするサラ・ジェシカ。

エピローグ

魔女裁判に先祖が巻き込まれた歴史を知り、あの時代に対する見方が大きく変わった、と語るサラ・ジェシカ。

また自分が誰であるかという今までの認識も、全て大きくひっくり返る経験であった。

アメリカという国に対する強い思いはあるが、自分がこの国の過去、歴史とそれほど深いつながりがあると思っていなかった。自分がここまでアメリカ人だ、と今まで感じたことがなかった。でも本当にここにルーツがある、自分は本当のアメリカ人なのだと、今は思える。

ひとこと

この番組のアメリカ版は2010年にNBCで始まりました。彼女の回が第一回でした。しばらくしてこの番組は別のチャンネルに移ってしまったんですが、イギリス版と比べてもかなり「フィールグッド」的な作りになってるなという印象でした。最後に何かバラード入れてみたり。

それにしても魔女狩り怖い!!なんとなくセイラムの魔女裁判のことは知っていましたが、実際の目撃証言ではなくて、霊視を証言として取り上げるとは、そっちの方が魔女みたいです。

集団ヒステリーって本当に恐ろしいですね。でも今の時代だって、似たようなことが起こらないとは限らないですよね。いや、実はもう起きているのかもしれません。そういえばトランプ大統領が、自分とロシアの関係をみんなが疑うのは壮大な魔女狩りだ、みたいなことは言ってますね(苦笑)

サラ・ジェシカ・パーカーはお父さんがユダヤ系(東欧からということなので、おそらくユダヤ人迫害を逃れてやってきたのでしょうか)、お母さんがドイツ系ということで、自分がそこまで生粋のアメリカ人である、という意識が今までなかったようです。

こちらから見たら十分アメリカ人、と思いますが、蓋を開けてみるとアメリカって意外と歴史が長い。まだまだ自分たちは新参者だという意識があったりするんでしょうか。そこはちょっと意外でした。<アメリカ版、2010年、S1E1>

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